2026/07/16(木)R86S U1のNICを交換した

R86S U1のNICについているSFP+ポートの片方が不安定という問題があり、これがずっと悩みの種だった。

しかしR86S U1のNICはOCP2.0のメザニンカードという特殊な規格であり、入手が難しかった。あと最近なんでも高いことや、ここ一年近く財政が悪く資金がショートしていたこともあり、中々購入のタイミングがなかったが、偶然安いのを見つけたので交換を決意した。

購入したもの

ほぼ新品 Mellanox ConnectX-4 CX4421A MCX4421A-ACQN ネットワーク インターフェイス PCIe カード (OCP2.0 用)

ほぼ新品とあるが中古なのは間違いない。

写真を見る限り左右でコネクタが異なるといったこともなく、3,745円でConnectX-3からConnectX-4に上げられて不調もなくなるならアリではないか?と思い、購入することにした。

配送

荷物はいつも通りCainiaoから発送され、国内ではエスポ便という聞いたこともない業者に引き渡された。軽く調べたところ株式会社エスポリアという越境ECのサービス会社がやっているようで、ここ最近のアリエクに増えているらしい。ここ自体は仲介業者で配送はしてないらしい。

そういえば最近中華特有のテカテカしたプチプチ袋減った気がする。

実際の配送はかつてAmazon便で悪名を馳せたTMG、椿本グループだった。久々に見たので、一般消費者向け宅配便事業で生きてたのかお前…となった。

開封の儀

結構ちゃんとした箱に入っていた。

中身。緩衝材が底にあり、本体も一応元袋らしきものに入っていた。いい感じのヒートシンクがついているのが素晴らしい。

賞味期限ラベルみたいなものが貼ってあったが非常に強力なシールで、爪でカリカリすると爪が削れるレベルで剥がせなかったため剥がすのを諦めた。

新旧比較をすると上が今まで使っていたやつで、下が今回新たに買ったやつだ。

裏返したところ。裏面には薄いアクリルフィルムが基板を保護するように付いていた。短絡防止用だろうか?ヒートシンクを支えるプッシュピンも見えた。

ラベルを見る限り2019年6月製とみられ、比較的新しい製品なのも嬉しい。以前使っていたConnectX-3は製造時期不明だがCX342Aは2015年のモデルらしいので、だいぶ古い。

どこで見たか記憶にないがConnectX-3はサポート切れが近いか、切れていることもあるという話も見た気がするのでConnectX-4を入手できたのはよかった。メイン機もサーバー機もNICはConnectX-4なのでお揃いになった。

装着は既存のConnetX-3を外し、カードを刺す場所に元々ついてたチップクーラーを除去して取り付けたら、そのまま何事もなく普通に装着できた。

このクーラーがあるとヒートシンクに干渉するので、外す必要があった。

OpenWrt上でのセットアップ

OpenWrt 24.10.0にはドライバがなかったのでドライバを入れるのをやっていく。

SFP+以外に接続手段のない私の環境ではルーターのSSHに繋ぐ術がなかったので、R86S U1本体にキーボードとモニタを接続して作業した。

# まずはNIC周りの調査ツールを入れる
opkg update
opkg install pciutils ethtool

# ドライバの状態とかが見れる
# Kernel driver in use: igcならドライバがない
lspci -nnk

# ドライバを入れる。kmod-mlx4-coreは後で消した
opkg install kmod-mlx5-core
# JISキーボードだとアンスコが出せないので頑張って探して打った
modprobe mlx5_core

あとはこのまま再起動したら普通に繋がった。

そのまま使うと温度が上がりすぎた

現状片側のSFP+しか使っていないうえ、それも初日なので不具合は何もない。以前使っていたのも最低でも一週間は使ってないと不安定化しなかったので、まだ安定性は不明だ。

ただソケットが両方とも同じ形に見えるので、以前使っていたものよりは安定するのではないかと考えている。

温度については高くなりがちなようで、R86S U1本体のCPU温度が51度に達することもあった。

以前のNICの温度はデータがなく比較できないのだが、ここまで上がっていることはなかった気がしている。

NIC本体の温度は取得する方法が今のところ分かっていない。mstflintでmstflint -d xxxx -reg_name MTMPとかしたら、提供されていないとか出た気がするがログは取っていない。

参考までに以下の手順でレジスタの値が取れるっぽい。参考:man/mstreg

# 必要なツールのインストール
opkg install lspci mstflint
# MellanoxのデバイスIDの取得
lspci | grep Mellanox | awk '{print $1}'
# レジスタ名一覧
mstflint -d <デバイスID> -show_regs
# レジスタ値の取得
mstflint -d <デバイスID> -reg_name <レジスタ名> -g

関係ないがデータがないのはGrafanaに出しているデータを永続化していないため、tmpが吹き飛ぶと消える状態なので、ここはそのうち何とかしないといけない。

冷却対策

端的に言うとヒートシンクを剥がし、R86S U1に元からついてるクーラーを装着した。

まずはConnectX-4を取り出し、ヒートシンクを外し、グリスを塗りなおす。この時ついでに裏のフィルムも剥がし、熱が溜まらないようにした。

R86S U1に元々ついてたチップクーラー(前述の奴)を持ってきて、付け直した。

ファンレス冷却(ヒートシンク)とファン冷却(クーラー)で同時刻に温度を比べたところ、5度ほど下がるという結果が出たので、かなり効果があった。

新しい奴のヒートシンクの方が目が細かく作りもしっかりしているように見えるが、風のあるなしがそれほどまでに大きいということだろう。

しょぼいヒートシンクと小さいファンの組み合わせなのであまり意味がないだろうと侮っていたが、結果は歴然だった。恐らくこれはケースが小さく通気の余地が少ないこともあり、自然対流には期待できないということの表れなのだろう。

ベンチマーク

以下の構成で速度を計測した結果。そもそもLAN内でパケットがルーターの中を通っているかが謎なのでルーターNIC交換の影響があるかどうかは不明である。

Windows - R86S U1 - MikroTik CRS305-1G-4S+IN - Ubuntu

以前の計測結果はこっち

Windows → Ubuntu

[ ID] Interval           Transfer     Bitrate
[  5]   0.00-1.01   sec  1.07 GBytes  9.13 Gbits/sec
[  5]   1.01-2.01   sec  1.09 GBytes  9.36 Gbits/sec
[  5]   2.01-3.00   sec  1.08 GBytes  9.36 Gbits/sec
[  5]   3.00-4.00   sec  1.09 GBytes  9.36 Gbits/sec
[  5]   4.00-5.01   sec  1.10 GBytes  9.36 Gbits/sec
[  5]   5.01-6.00   sec  1.08 GBytes  9.36 Gbits/sec
[  5]   6.00-7.01   sec  1.10 GBytes  9.36 Gbits/sec
[  5]   7.01-8.01   sec  1.09 GBytes  9.36 Gbits/sec
[  5]   8.01-9.01   sec  1.09 GBytes  9.36 Gbits/sec
[  5]   9.01-10.00  sec  1.08 GBytes  9.36 Gbits/sec
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
[ ID] Interval           Transfer     Bitrate
[  5]   0.00-10.00  sec  10.9 GBytes  9.34 Gbits/sec                  sender
[  5]   0.00-10.00  sec  10.9 GBytes  9.33 Gbits/sec                  receiver

Ubuntu→Windows

[ ID] Interval           Transfer     Bitrate         Retr  Cwnd
[  5]   0.00-1.00   sec  1.08 GBytes  9.30 Gbits/sec    0   1.54 MBytes       
[  5]   1.00-2.00   sec  1.08 GBytes  9.28 Gbits/sec    0   1.62 MBytes       
[  5]   2.00-3.00   sec  1.08 GBytes  9.27 Gbits/sec    0   1.70 MBytes       
[  5]   3.00-4.00   sec  1.08 GBytes  9.28 Gbits/sec    0   1.78 MBytes       
[  5]   4.00-5.00   sec  1.08 GBytes  9.28 Gbits/sec    0   1.78 MBytes       
[  5]   5.00-6.00   sec  1.08 GBytes  9.29 Gbits/sec    0   1.78 MBytes       
[  5]   6.00-7.00   sec  1.08 GBytes  9.28 Gbits/sec    0   1.78 MBytes       
[  5]   7.00-8.00   sec  1.08 GBytes  9.28 Gbits/sec    0   1.93 MBytes       
[  5]   8.00-9.00   sec  1.08 GBytes  9.28 Gbits/sec    0   1.93 MBytes       
[  5]   9.00-10.00  sec  1.08 GBytes  9.28 Gbits/sec    0   1.93 MBytes       
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
[ ID] Interval           Transfer     Bitrate         Retr
[  5]   0.00-10.00  sec  10.8 GBytes  9.28 Gbits/sec    0             sender
[  5]   0.00-10.00  sec  10.8 GBytes  9.28 Gbits/sec                  receiver

まとめ

前回と比較すると若干速度が落ちているが、サーバーとして動かしてて帯域を食っている分減っているのかもしれない。

Windows→Ubuntu(上り) Windows→Ubuntu(下り) Ubuntu→Windows(上り) Ubuntu→Windows(下り)
9.34 Gbps 9.33 Gbps 9.28 Gbps 9.28 Gbps

交換前のConnectX-3が改造品だった話

以前使っていたPCB000620は元々SFP+片ポートモデルで、どうやらR86S U1では2ポートに改造していたようだ。

その影響なのか明らかに片方だけソケットの形が異なる。上側のほうが綺麗で、下側は使いこまれているのか、ややぼろ目に見える。

裏面を見ると片方ははんだ付けされているが、片方は差し込んであるだけ。シールも一度剥がしたものを貼り付けているのか、ペラペラしていてすぐに剥がせた。

おそらく上側(PORT 0)のはんだ付けされていた方が本来のソケットで、後から付けたやつ、つまり下側(PORT 1)が差し込んだだけの奴と思われる。

本来のソケットがぼろい方、後付けのが綺麗な方である。

奥の方の作りも異なる。左がPORT 0、右がPORT 1。

R86S U1のNICについているSFP+ポートの片方が不安定だった話で不安定だったのはPORT 1の方なので、改造して無理に取り付けていた方が不具合を発していたのだろう。本来できないことをしているので無理もない。

裏面の形も異なる。

恐らくよくある片ポートの奴にソケットを増設したのだと思う。

ソケットが片ポートしかなくても回路が実装されていることはよくあるので、この回路を流用しているのだと思う。回路もあるし、チップも恐らく同じなので原理的には問題なく動きそうに思える。

R86S U1のSFP+を使い始めたのは2025年の9月17日からだった[1]が、同年12月13日にはリンクアップとリンクダウンが繰り返される事象を確認していて、同年12月25日にSFP+差し込みポートの変更を行ってからは一度も起きていない。

この時の気温が落ちたので金属製のSFP+ソケットの接触不良になったのではないか?と考えていたが、恐らくソケットではなく、基板本体との接触が寒暖差でダメになったのかもしれない。実際、先ほどの写真を見ても基板の穴からピンが出たり出ていなかったりするので、寒暖差でここが僅かに狂った結果、基板と接触不良になり、回路がチャタリングした結果、リンクアップとリンクダウンをミリ秒単位で繰り返す状態が起きていたのかもしれない。

もし、この理屈が正しければ強く押し込んではんだ付けすれば改善しそうではある。

あとがき

NIC交換の時に取り出した時、酷い埃まみれになっていたのでいい加減、冷却面をどうにかしたい気がしている。

普段は上に80mm角ファンを載せて運用しているため、埃の元凶はこれである。一旦はファンフィルターを買ってその場を凌ぎたいところだが、本質的にはちゃんとしたケースに収めてちゃんとしたクーラーをつけるのが最良だと思っている。

R86S U1を冷やそうとした作業の残渣にも書いているが、R86S U1の冷却機構は耐久性があるように見えず、また大して冷やしてもくれない。上にファンを載せて風を入れていると、いつの日か中が埃まみれになってしまうし、このケースはメンテナンス性が良くないので清掃も面倒だ。

理想論としてはこんな感じのケースに組み込めればよいだろう。これならメンテナンスがしやすいし、NICのヒートシンクも元の奴が生かせそうだ。ファンも40mm角ファンだろうから壊れても交換が容易である。

まぁこれは行き過ぎとしても、ラズパイのタワークーラーを載せるとか、そういうのができるとよいなとは思っている。基板むき出しは埃が溜まってショートしそうなので、ケースもあった方がいいだろう。

ただそれをどう実現するかが難しいところで、まず本来的には3D CADでケースやCPUクーラーをモデリングし、CNCで金属を削るという工程が必要だろうが、そんなものはないし、仮に3Dプリンタである程度何とかするにしても、3D CADの使い方を学ぶところからだと気が遠くなる話で、なかなか難しい…。

そもそもノギスで測っても測るたびに数ミリ単位の誤差が出るので、アナログな図面を書くことすら困難だ(多分ノギスの角度が微妙に毎回ズレてる)

こんなことであれば去年アリエクのセールでファンレスのR86SであるR86S-FLN100を買っておけばよかった。今は22.7万もするが、去年は11万くらいで、セールでは9万にまで落ちていて、買いだった。まぁあとからは何とでも言えるし、そもそも9万でも安くないわけで、言ったところで仕方がない。

現実案としては厚紙にボードを固定して外枠をペンで引き、ネジ穴については基板のネジ穴スレスレの何かを差し込んでマーキングすればそれなりに正確なものが取れるだろうから、一度手書きで図面を書き、それを基にアクリル板を加工し、簡単なケースを作るのが一段階目としてはよさそうな気がする。

ただCPUクーラーをどうするかという問題が根深く、ここが難点になると思う…。これはCPUクーラーを作るにはCPUのヒートスプレッダに乗ってくれるヒートシンクを持ったファンと、そのファンと基板のネジ穴を繋ぐ足が必要になるからだ。ヒートシンクと基板のネジ穴がマッチしないとならないので、恐らくこれが一番の難関だろう…。

たぶん厚紙→アクリル板がいければ図面を起こせるので、カスタムアルミケース業者に発注すれば、きちんとしたものも作れると思う。そこまでやるかどうかは未定だが…w


  1. 宅内に10GbE環境を導入してみたの写真のタイムスタンプから推定。