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Google Analyticsには長らく不満があり、ほとんど活用できていなかったが、今回Matomoというアクセス解析を発見したので、これに乗り換えることにした。
何故Google Analyticsを使っていたか?
端的に言うと当時は他に選択肢を知らなかったから。
元々アクセス解析にはデジロックが運営するAccessAnalyzer.comというサービスを使っていたのだが、これがサービス終了したので仕方なくGoogle Analyticsに乗り換えたという経緯がある。
AccessAnalyzer.comは素晴らしく、ページ別のアクセスは勿論のこと、来訪者の検索ワードや検索エンジン、IPなどが分かりやすく見れる高機能なアクセス解析だった。今からしてみればプライバシーもなんもないが、アクセス解析というのは当時そういうものだった。更に動作も軽く、画面はパッと出てきた。
しかしGoogle Analyticsはそうではない。AccessAnalyzer.comで見れていた情報の大半は見れなくなり、精々ページ別のアクセス数が見れるだけだ。しかも画面が超絶重い。StableDiffusionが動くマシンでさえ重い。これは異常だ。
画面構成も判り辛く、とっつきづらい。ほぼ毎日のようにアクセス解析を眺めていた私は、Google Analyticsに移行してからは年に数回しか見なくなった。
それほどまでに魅力がなかった。プライバシーポリシーをサイトに書かないといけないのも癪だった。
セルフホスティングで動くアクセス解析には何があるか探してみた
まず私は昨今、さくらインターネットで動いているサイトを自宅サーバーへ移行することを考えている。その過程で、アクセス解析もセルフホスティングに移せないかを考えていた。
そこでセルフホスティングベースのアクセス解析を調べてみて、興味を引くものを幾つか見つけたので、簡単に機能比較をしてみた。GoAccessはアクセス解析というよりサーバーログ解析なので別物として扱った方がよい。
- | GoAccess | Umami | Open Web Analytics | Matomo |
---|---|---|---|---|
CGI対応 | × | × | 〇 | 〇 |
ランタイム | Go | Node.js | PHP | PHP |
レスポンシブUI | 〇 | 〇 | × | 〇 |
トラッキング | × | 〇 | 〇 | 〇 |
IP収集 | 〇 | × | 〇 | 〇 |
レポート | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
初回リリース | 2010年 | 2020年 | 2016年 | 2007年 |
GitHub Stars | 19.7k | 30.0k | 2.6k | 20.8k |
市場シェア | ? | ? | ? | 2.7% |
日本語対応 | × | 〇 | × | 〇 |
Matomoを選んだ理由
まずは何よりもCGIとして動作することだ。私はWebスクリプトの動作要件ではCGI動作可能かどうかを最重要視している。
理由としてはレンタルサーバーで動くからという部分が大きいが、自宅サーバーにおいてもリソースを食わないことや、メモリリークを起こしづらいことが魅力に感じている。個別にサーバーが起動しないため死活監視が不要なのもメリットだろう。nginxで動かす場合は、FastCGIの生死が見れたらよい。
また上の表でも最も〇評価が多く、私の求めている要件に大きく合致しているからだ。市場シェアと歴史もあり、継続的にメンテナンスされそうという期待も大きい。
アクセス解析に求めるもの
私は趣味でWebサイト運営をしているため、どういったユーザーが来ているのか、常連はどれほどいるのか?みたいな興味関心の部分に注視している。
日時別のアクセス統計
ある日時にどのページにどの程度アクセスがあったかをグラフなどで表示できる機能は基本的に欲しい。逆にこれがないのならサーバーログをパースして見た方がマシだ。
リファラデータ
セキュリティが強化された現在においては、具体的にどこからアクセスがあったかというのは追いづらいが、それでもドメインくらいは見れるため、Googleから来たのか、Xから来たのか、社内SNSから来たのかなど、ある程度特定できるのは個人的に興味がある。
ユーザートラッキング
ユーザーにトラッキングCookieを付与することで、いったいどれほどのユーザーが再訪しているのか、何を見ているのか?というのを見るのに使っている。古典的なサイト運営者としては常連がいることが分かると、やはり嬉しい。
UserAgentや国、地域情報などの環境情報
どんなブラウザや、国、地域から来ているのかわかるのは興味深い。例えば私は神戸に住んでいるので関西圏からのアクセスが多ければ少し嬉しくなったりするし、シンガポールからアクセスがあれば驚くこともある。
他にも使用しているブラウザやOSなどもわかるとなんとなく楽しい。
IPアドレス
トラッキングIDがなかった時代はこれをトラッキングコードの代わりにしていたが、実は今では重要性はほとんどない。
個人的な直近の需要としてはIPv4とIPv6の比率が分かればいいので、IPアドレスそのものはなくてもかまわない。
Matomoを選んでよかった理由
既存のアクセスログの解析ができた
さくらのレンタルサーバーにあるApacheのログを食わせてDBに登録できるため、SQLベースの解析ができるのは有益だった。Google Analyticsでは見れない角度で見ることもできた。
但しサーバーログはノイズも多く、トラッキングもできないため、自分のアクセスすら特定が困難で、あまり使えなかった。この結果については別記事にする予定だ。
画面読み込みが圧倒的に軽い
私のマシンはCore Ultra 7 265FにRTX 5070 Ti、メモリを64GB積み、fast.comでの回線速度が360Mbps、遅延が5msの性能があるが、この環境をもってしてもGoogle Analyticsの画面読み込みや、画面遷移は非常に遅く、使うのが億劫だった。
しかしMatomoは画面遷移が極めて速く、何らストレスがない。
リアルタイム解析が見やすい
ここまで直感的にわかるのは便利だ。いつだれがどこに、どんな環境でどこから来ているかが一目瞭然である。
さくらのレンタルサーバーで動く
さくらのレンタルサーバーでも動くのはありがたい。自宅サーバーへの移行はまだできていないし、色々あって前途が怪しい部分もあるからだ。
ログDBが手元にあるので調査に便利
ログDBが手元にあるため、画面上では見れないデータを見る場合にも便利だ。
例えばApacheのログを食わせた後に自分がどのサイトをどの端末から見ていて、IPのバージョンを追跡したい場合、次のようにして調べることが出来る。このようにMatomo画面では見れないデータも柔軟に見れるのは非常に便利だ。
SELECT
*
FROM
(
SELECT
visit_last_action_time,
idsite,
CASE
WHEN LENGTH(location_ip) <= 4 THEN INET6_NTOA(location_ip)
ELSE ''
END AS ipv4,
CASE
WHEN LENGTH(location_ip) > 4 THEN INET6_NTOA(location_ip)
ELSE ''
END AS ipv6,
config_browser_name,
config_os
FROM matomo_log_visit
) TBL
WHERE
ipv4 = '自分のIPv4アドレス'
OR ipv6 LIKE '自分のIPv6アドレスの先頭4フィールド%'
ORDER BY
visit_last_action_time DESC;
あとがき:地味にある日本語由来のソフトウェア
UmamiとかMatomoとか、日本語ベースのアクセス解析が複数あるのはちょっと面白いなと思った。見た感じ、どちらも日本人の開発ではなさそうだ。
由来としてはUmamiはご飯のアイコンからして旨味なのだろうが、明確な由来は見つけられなかった。Matomoは日本語におけるhonestyの意味から取られたそうだ。
よく考えてみるとWebソフトウェアには日本語由来のものが結構あるかもしれない。例えば他にもPythonのJinjaやCSSフレームワークのBulmaが日本語に由来している。
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R86S U1を買ってOpenWrtをインストールしてから今までずっとSPF+ポートが認識されていなかったので認識可能にした。
確認環境
- R86S U1
- OpenWrt 24.10.0
前提条件
- インターネット環境があること
手順
- 認識されているかどうか確認し、何も出てこなければ次のステップへ
dmesg | grep mlx4
- ドライバをインストール
opkg install kmod-mlx4-core
- 再び認識されているかどうかを確認する
dmesg | grep mlx4
なぜこれをしようと思ったか?
最初はeth0, eth1との排他制御かと考えていたが、RJ45とSPF+でNICが分離している構造上ありえないので、有効化できるはずだと思ったためやってみた。ポートはあればあるほど都合がいいし、RJ45が使えればSPF+に対応してない機器もつなげて便利なので。
有効化したSPF+ポートをLANに繋ぐ方法
機材不足で未検証だが、基本的にはOpenWrtでR86S U1のeth2ポートをLANに繋ぐ方法でLANに繋ぐものが出来ると思う。
参考までに有効化したSPF+ポートはeth3, eth4として認識されていることを確認している。これはdmesg | grep mlx4
すると分かる。
- 投稿日:
さくらのレンタルサーバーにLet's EncryptのDNS-01 チャレンジの証明書を持ち込む方法。自動更新できないので実用性はないが、一時的に使う場合に有用。
前提条件
DNS-01 チャレンジの証明書を既に作っている。
やり方
- 発行した証明書をhomeに移す
sudo cp /etc/letsencrypt/live/<サイトディレクトリ>/*.pem . sudo chown $USER:$USER privkey.pem fullchain.pem
- さくらのコンパネから設定するドメインのSSL設定を開く
- SSL証明書の種類を選択→独自SSL
- 秘密鍵にprivkey.pemをアップロードする
- SSL証明書インストールでfullchain.pemの中身を張り付けて登録する
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本記事はここ昨今のOpenWrtセットアップシリーズの続きである。
OCNバーチャルコネクトのIPoEでIPv4 over IPv6のMAP-E環境であれば理論上IPv6ポートは全部使えるので、そんならポート指定なしでサーバーを建てられるのでは?というのでやってみた。
確認環境
環境 | 内容 |
---|---|
ISP | OCN光 |
ISP契約 | OCN 光 with フレッツ マンション・スーパーハイスピード 隼・プラン1・西日本 |
ISP接続方式 | OCNバーチャルコネクト(IPoE, MAP-E) |
RouterOS | OpenWrt 24.10.0 |
ServerOS | Ubuntu 24.04.3 LTS |
HTTPD | nginx 1.26.1 |
ドメインレジストラ | Value Domain |
前提条件
IPv4環境下でのHTTPSアクセスが可能で、かつ以下のセットアップが終わっているものとする。
今回の要件
ルーターのファイアウォールでサーバーマシンのみ穴をあけ、それを塞ぐ。つまりNATの再現を行うことで、関係ない端末が攻撃されないようにする。
やり方
サーバーとDNSの設定
- nginxの設定を開き
listen [::]:443
を追加して再起動sudo service nginx restart
- サーバーマシンのIPv6を控える
ip -6 addr | grep 'global dynamic' | perl -ale '$F[1] =~ /^([^\/]+)/; print $1;'
- Value DomainのDNS設定を開きAAAAレコードに、先ほど控えたIPv6アドレスを登録する
ルーターのファイアウォールに穴をあける
- LuCIに入りNetwork→Firewall→Traffic Rulesを開く
Addボタンを押し、次の要領で入力して保存
General Settings項目 値 Name 適当につける Protocol TCP│UDP Source zone wan Destination zone lan Destination address さっき控えたサーバーのv6IPアドレス Destination port 開けたいポートを半角スペース区切りで入れる Advanced Settings
項目 値 Restrict to address family IPv6 only 穴をあけたIP以外が外部から疎通しないことを確認
- 穴をあけたIPが外部から疎通することを確認
備考
OCN光のIPoE(MAP-E)方式のIPはv4, v6ともに基本的に変動しない
結論から言うと引っ越しでもしない限り、v4が固定なのは知っていたが、v6も固定らしい。
v6のアドレスが変わる気配がないので、OCNのテクニカルサポートに聞いた結果、PPPoEは変動IPv4でルーター再起動時にIPが変わるが、IPoEであればIPv4, IPv6ともに半固定で通常は変わらないとのことだった。
つまりVLANやip6tablesがなくてもサーバーを公開できると言う事でOCN様々と言う事である。
IPv4アクセスをどうするか?
現状は2案検討している。
- どっかにペラのページを置いておき、「IPv6でアクセスしてください」みたいなお知らせページにしておく
- SNSなどのOGP対策で、簡単なプロキシを組んでおき、OGPだけ出るようにしておくのが無難に感じる。
2のケースだとレンサバにv6側サイトのOGP取得用のCGIを置いておくとか、v6側サイト更新時にOGP付きのペラのHTMLを置いておくなどが検討できると思う。
Cloudflare Tunnelを使わない理由
Cloudflare Tunnelを使えば確かにこんなことはしなくて済むが、次の理由で使っていない。
一つは、オンプレなのに外部サービスに頼りたくない思いがあること、もう一つはCloudflareでドメイン管理する必要性があるはずだが、Cloudflareでドメイン管理すると今使っているメールサーバーのSPFレコードが正しく登録できない問題があることだ。