2026/06/27(土)nginxでGeoIP2とUserAgentを利用したアクセス制御を実装してみた

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過去に何度かBOTなどを避けるためのアクセス制御を導入していたが、結果どれも微妙だった。しかしどうにかしたい、そうだ、nginxは高機能なのでできるんじゃないか?と思って実践してみたログ。

User-AgentはGEOIP2と何も関係ないが、ついでにやったので書いている。

確認環境

Env Ver(apt上) 備考
nginx 1.24.0-2ubuntu7.13 nginx -vではnginx/1.24.0 (Ubuntu)
nginx-common 1.24.0-2ubuntu7.13
libnginx-mod-stream 1.24.0-2ubuntu7.13
libnginx-mod-http-geoip2 1:3.4-5build2

やったこと

互換性確保のためnginxのダウングレード

インストールされていたnginxが1.26.1-2~jammyで、libnginx-mod-http-geoip2との互換性がなかったためダウングレードすることにした。

まず次のコマンドで整合性を確認した。コマンド自体はGPT-5.5が作ってくれたものであるが、こうすることでダウングレードを許可した上での互換性チェックができるようだ。

コマンドの実行結果としては既に追加されているコンポーネント、ダウングレードされるコンポーネント、新たに追加されるコンポーネントの一覧が出てくる。

# ngx_http_geoip2_module.soが存在しないことを確認。既にある場合は本項の工程は飛ばせると思う
ls -la /usr/lib/nginx/modules

sudo apt install -s --allow-downgrades \
  nginx=1.24.0-2ubuntu7.13 \
  nginx-common=1.24.0-2ubuntu7.13 \
  libnginx-mod-stream=1.24.0-2ubuntu7.13 \
  libnginx-mod-http-geoip2

上記の構成でインストールできることが分かったので-sを外してnginx本体をダウングレードし、他をインストールする。

sudo apt install --allow-downgrades \
  nginx=1.24.0-2ubuntu7.13 \
  nginx-common=1.24.0-2ubuntu7.13 \
  libnginx-mod-stream=1.24.0-2ubuntu7.13 \
  libnginx-mod-http-geoip2

# ngx_http_geoip2_module.soが増えていることを確認
ls -la /usr/lib/nginx/modules
ngx_http_geoip2_module.so

GEOIP2データベースの入手と配置

MMDBなら何でも行けると思うので、Matomoで使ってる無料の奴を使う。理想的にはCRONで定期取得するのがいいと思うが、面倒なので今回はやってない。

sudo mkdir -p /usr/share/GeoIP
sudo wget https://download.db-ip.com/free/dbip-country-lite-2026-06.mmdb.gz -O /usr/share/GeoIP/dbip-country-lite.gz
gunzip /usr/share/GeoIP/dbip-country-lite.gz

nginxの設定でGEOIPの有効化を行う

/etc/nginx/nginx.confに以下の設定を追記すると、$geoip2_で始まる変数にMMDBの中身が入るようになる。

load_module modules/ngx_http_geoip2_module.so;

http {
    ...

    geoip2 /usr/share/GeoIP/dbip-country-lite {
      auto_reload 24h;
      $geoip2_metadata_country_build metadata build_epoch;
      $geoip2_country_code country iso_code;
      $geoip2_country_name country names en;
    }

    ...

nginxのJSONログに国コードを含める

JSONログにキーを追加してやればよい。

http {
  ...

  log_format main_json escape=json
  '{'
      ...
      '"country_code":"$geoip2_country_code"'
  '}';

国コードとUserAgentの判定フィルタの元ネタを作る

nginxのmap構文を使って判定用の元ネタを作る。

左側は~で始めると正規表現扱いになり、~*とすると大文字小文字の違いを無視してくれるようになるらしい。

http {
  # headlesschromeを2にしてるのは、これはちょっと毛色が違うと思ったため、便宜上分類分けしている。
  # 但し現時点でこの値を特別扱いしておらず、1と等価なので無駄ではある。
  map $http_user_agent $deny_ua {
    default                 0;
    "~*meta-externalagent"  1;
    "~*baidu"               1;
    "~*headlesschrome"      2;
    ""                      1;
  }

  map $geoip2_country_code $deny_ca {
    default 0;
    "CN"    1;
    "BR"    1;
    "IN"    1;
  }

  # nginxのif文にはandやorに相当する演算子がないのでmapで合成しておく
  map "$deny_ua:$deny_ca" $deny_client {
    default 1;
    "0:0"   0;
  }
  ....
}

雰囲気で読んでいるが構文の意味合いはこうだと思う。KeyValueで並べていくと入力値($input_variable)のKey(input_value)に対するValue(output_value)が出力値($output_variable)に入るのだと思う。

map $input_variable $output_variable {
    default <default_value>; # デフォルト値
    input_value output_value;
    ...
}

フィルタ用のsnippetsを作る

vhostに撒くように/etc/nginx/snippets/deny_client.confのようなsnippetsを作る。

前述のmapで判定をまとめているのでif文一つで制御できるようになっている。

if ($deny_client = 1) {
  return 404;
}

snippetsをvhostに撒く

反映したいvhostの設定にsnippetsを撒いていく。

server {
  ...

  include snippets/deny_client.conf;

  ...

動作検証

こんな感じで検証して弾かれてれることを確認した。国コードはどうにもならないが原理上問題ないはずなので大丈夫だろう。

curl -H "User-Agent:meta-externalagent/1.1" https://lycolia.info

あとは念のために国コードが出ているかどうかをnginxのログを見て出ていたらOK。

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あとがき

今回のアクセス制御の導入にあたり、運用面で課題のあるAnubisを回避しつつ、大量に存在するCGIにラッパーCGIを嚙ますなどの対応を回避できたのはよかった。

nginxは何とも高性能だ。そして自宅サーバーに全部乗せしたおかげで、レンタルサーバーでは決して手が届かないことができるのが良いと思った。

しかしググってもGEOIP無印の情報ばかりで、GEOIP2の情報が全然なかったので地味にハマってしまった。こういう時LLMに情報を漁ってもらうと取っ掛かりが得られて突破口を見つけられたりするので便利だと感じる。

パッケージを見ていて気になったこと

パッケージを見ていて気になったことは元のコードは保守されてないにもかかわらず、ディストリごとにコードが保守されているように見えたことだ。

今回導入したのはlibnginx-mod-http-geoip2だが、これは元を辿ればDebianのlibnginx-mod-http-geoip2のようで、更に元を辿るとleev/ngx_http_geoip2_module: Nginx GeoIP2 moduleに行きつく。

何故ならDebianのリポジトリがGitHubより新しく、READMEの中身が同じだからだ。設定方法もまるっきり同じに見える。

GitHubのリポジトリは2年以上放置されており「Support nginx 1.23.0」で時が止まっているが、Ubuntuでは「Rebuild against new nginx 1.30.1.」とあるため、だいぶ新しいところまでサポートが進んでいる。

よく考えるとパッケージのバージョンに-ubuntuみたいなのがついているのも良くあることなので、もしかしたらディストリごとにこういったアプリケーションを保守していたりするのだろうか?

そういえばPHPなんかも本家がサポート切れててもUbuntuではサポート内とか聞いたことがある。動作サポートなのかセキュリティサポートなのか、何のサポート課なのかまでは知らないが、星の数ほどあるパッケージをディストリごとに保守しているとしたら、これは凄いことだなと思ったし、他人が書いた得体のしれないパッケージをどう保守しているのかも気になった。

Linuxの世界は興味深い…。

nginxのダウングレードからのバージョンの復旧について

ダウングレードしても基本的に影響はないと思うが、元のバージョンに上げようとするとUbuntuそのもののバージョンアップが必要なことを知った。

しかし24.04.04 LTSから26.04への安全なアップグレードはまだ提供されていないようなのでいったん断念した。26.04.01が出ると上げられるようになるらしく、現状はお試し版みたいな感じらしい。

よくあるx.00は安定板だけど不具合がある、x.01で真の安定板になるみたいな話はUbuntuにもあるんだなと思った。