映画『GROTESQQQUE-グロテスク-』を観てきたのでその感想。
本作を観に行ったきっかけは、このフライヤーだ。特に最下段の金髪のキャラクターが非常に気になったので観に行くことにした。
フライヤーは表紙しか見ておらず、それも文字はタイトルしか読んでおらず、事前知識として本作が三作品から構成されるということを、うっすら認識していた程度だ。三角だったりQQQとQが三つ並んでいるのも、そこを暗示しているかのようで面白い。
全作品に共通するのは舞台が東京で、特に渋谷109や東京駅といったアイコニックな場所をよく出しているところがあるなと感じたところだ。池袋が出てきたような気もしたが、ちょっとここは怪しい。
全体としてはすごく映画らしい映画で、Ep1のエリィアンズの疾走感や、芸術的な表現がありつつもダイナミックな動きは特にスクリーンで観る映像体験として楽しめた。ただその一方で中身が驚くほどなく、たぶんメッセージ性とかはなかった。また作画の品質差が作品によって激しく、音響にも力が入っていないように見えたので、B級作品を集めて、疾走感のある作品に仕立てたような雰囲気を感じた。
Ep1: エリィアンズ
開幕するとまずこの作品から始まる。グロテスクとは一体何なのかというくらいあっさりしたムービーが続くのもあり、個人的には最もグロテスクから遠いハートフル作品に読めた。
主人公がビルから落ちて形を失う、溶ける、銃撃されても穴が開くだけといった描写があるので、ここだけ切り取ればグロテスクなのだが、描写が非常にコミカルなので個人的にはグロテスクというよりはポップに映った。
全体を通して背景の解像度が低く、どうにも低画質の画像を引き延ばしたような画づくりと、パステルでビビッドな色使いから、全体的に平成を意識することが多かった。
また主人公の動きを見ていると、どことなくアラレちゃんのようなノリを感じた。衝動性というか支離滅裂性というか。髪色や眼鏡かけてたり走り回ってるのもそれっぽいと思う。
巨大化して街を飲み込んだり、ものを取り込んで変換して吐き出す、平成ギャル~やや地雷系が出てくる表現からも、どことなく平成を感じる作品だった。
全体的にはバトルがあるものの、ポップでギャグテイストな平和な作品で最もグロテスクから遠い、突き出しのような作品だった。また凄くアートな雰囲気を感じたが、前衛芸術というほど突き抜けていなかったので中衛芸術といったところを思った。
本作は錦織敦史氏が監督から脚本やキャラクター原案、エピソードディレクションまでやっており、美術監督を入れてあるだけあり、非常に完成度が高くなっている。
Ep2: 夜露死駆★少女
いきなり場面が急転し、謎の殺し合いが始まる。導入が唐突すぎて割とかなり意味不明だった。
どうやら昭和~令和のギャルを軸に展開するVRMMOが舞台のようだったが、現実を意識するシーンが少なく、仮想空間性はほとんど感じられなかった。
登場人物はスケバンからガングロギャル、ヤマンバから地雷系少女まで、象徴的なギャルが多かったがなんかどこかのミコッテにしか見えないのもいたような…。
ストーリーの流れは割と謎で取り敢えず、PvPで戦うギャルたちが過去に消えた象徴的アイドルを取り戻すために結束し、結果助けるみたいな流れだけはわかった。
PvPなので人が死ぬという意味ではグロテスクかもしれないが、見てる感じFPSゲームとMMORPGを掛け合わせたような感じで流血はなく、死ぬときは光になって消えていくやつに近かったので、グロさは皆無だった。呪術廻戦のほうが遥かにグロい。
猫の被り物をした「名無し」と呼ばれる少女は設定込みでかなり好きだったし、青髪の剣士も好みだったので、MMO好きとしては楽しめる作品だった。特に被り物をして正体を隠すというのは超かぐや姫!のいろはにも通じるところがあり、かなり好みだ。ただストーリーが激変しまくる上に突拍子もなく話の跳躍があるので、内容としては最もよくわからなかった。
本作だけキャラデザやエピソードに錦織敦史氏が噛んでおらず、全体的に異質になっている。
Ep3: ノクターン〜このグロテスクな夜に〜
遂に三作目、ここの導入は非常にスムーズで分かりやすかった。結論から言うと最もグロテスクな作品だった。サブタイトルにグロテスクとあるだけはある。
3作の中では最も中身があり、ストーリーに深みと重さがあり、考察の余地があると感じたが、何せ1回の上映で3作品やっている関係で尺が短く、どうにも浅いというか、掘り下げ切れていない感じはした。
フライヤーに描かれていたキャラクターの作品でもあり大きな期待をしたが、残念ながらあの美麗作画が出てくるのはごく一瞬の話で、ほとんどのシーンでは作画が地上波アニメの平均値レベル程度に収まっており、だいぶ期待を裏切られた感じだ。
ここのグロテスク要素は、ほとんどの人類が滅びた世界で、吸血鬼と吸血鬼に食われ不死の身体を得た少女たちが身内同士での殺人を目的とした暗澹たる食人行為をはじめとしたSAN値を削られるような精神的なグロさが出てくること、そして何より人を食い、食い返されたヒロインの死があることだ。
本作はPG12がかかっているが、恐らくこのエピソードがその原因だろう。他は些細なもので到底年齢制限など必要なものではなかった。
ただ観ていた中で最も醜く、そして美しいストーリーがあると感じたので、全三作の中では一番好きな作品だった。
本作も監督とエピソードディレクター・キャラクターデザインは錦織敦史氏だが、スタッフリストが3作中最も少なく、このボリュームの差が作画の不安定さを象徴しているように見えた。
あとがき
今回は2024年8月12日ぶりにOSシネマズ ミント神戸での鑑賞となった。2026年11月6日の鑑賞なので、816日、2年2ヶ月25日ぶりだ。
普段は運動不足解消のためと、そもそもミント神戸はアニメをあまりやらないのもありハーバーランドのほうで観ることが多いのだが、ちょっと昨今色々なものが立て込んでおり時間がないため、珍しく家から近いミント神戸での鑑賞となった。運動不足を少しでもなくすため徒歩で向かった。
しかし2年もミント神戸で映画を見ていないのは驚いたし、よくも毎回ハーバーランドまで行ってるなと我ながら感心した。
OSシネマズ ミント神戸からJR三ノ宮駅を見下ろすと駅ビル工事がだいぶ進展しており、地下の構造物がだいぶ分かるようになっていた。これからどうなっていくかが楽しみだ。