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写真を撮っていると、被写体が木や雲で隠れていたりして上手く撮れないことがある。一般的には綺麗に撮るために、どうにか障害物を退けたいと思うだろう。私もかつてはそうだった。
しかし、最近ではあまりそう思わなくなった。障害物も込みで、その景色なのではないかと。その障害物は一刻一刻と移ろいゆくものだ。例えば雲であれば移動したり、形を変えるし、重なり方も変わる。木であれば成長したり、紅葉したり、風で揺らいだりするだろう。そういった情景の変化というのは、その時々で違う表情を見せてくれる。そう考えると障害物というよりは、それもまた被写体の一つであり、一期一会の出会いなのではないかと、そう思うようになってきた。
そして、それこそが古来日本人が大切にしてきたであろう、侘び寂びなのではないかと。そんなことをふと思った。