この記事は紙の本が減ってきているの続きだ。
前の記事を書いたときは近くのファミマから紙の本が消えていると言うことを書いたが、これはどうやら全国的な傾向になりつつあるようで産経に次のような記事が出ていた。
3月からファミマとローソン計1万店で雑誌販売終了 書店ない地域で〝難民〟発生か
この記事によれば、トラック運転手の残業規制を強化する2024年問題や燃料高騰などの影響で、コンビニ向け配送事業の赤字が慢性化しており、ファミリーマートとローソンの計約1万店で雑誌配送を終了する方針が示されていたが、これをさらに拡大するとのことだった。
また出版取次大手のトーハンも、日本出版販売が慢性的な赤字からコンビニ向けの雑誌配送を取り止めるのを受け、雑誌配送を縮小する方向に舵を切ることにしたようだ。
なおセブンイレブンは物理本の販売に意義を感じており、この流れには乗らず販売を継続するそうだ。
近くのローソンでは今でも紙の本が売られており、アイドルなどの新聞も取り扱っていただけあって、正直ローソンまで影響を受けるのは驚いた。
ただまぁコンテンツが多様化し電子書籍も出てきている以上、やむを得ないことなのだとは思う。恐らくこれ以降の物理本はコレクターなどを始めとした層に向けたものになり、普通の人は買わなくなるのかもしれないと、最近はちょいちょい思うようになった。
去年の10月あたりから書籍を扱うファミマがじわじわ減ってきていて、11月辺りによく行くファミマから全て消えた。
そして最近は物理本の淘汰という話もちらちら聞く。物理本は流通コストなどでは電子本に勝てない明確な弱点がある。
しかし物理本にも長所がある。例えば書店で本を探すときに思いがけない本に出会うというのはよくあることだと思うが、電子本ではこれは難しい、少なくともレコメンドエンジンに頼るくらいしか術がないので、幅は減るだろう。
また装丁についても電子本には存在しない概念だ。特殊印刷とかそういうのは電子本にはない。絵本にあるギミックみたいなのも作りようがない。
他にも概念上、これまでのような図書館の運営ができなくなり、貧富の差や情報アクセスの差が生まれる可能性がある。物理本は他人に貸したり輪読したりというのが権利上しやすいが、電子本ではまず無理だ。電子図書館は今でもあるが、置ける本は限られている。
電子本の短所として配信が終わると読めなくなるとか、内容が改竄されるというのもある。権利などの都合で配信が止まることは十分にあり得るし、物理本は重版で中身が微妙に変わることがある。差別的表現が削られていった、こち亀なんかは割と有名だろう。
物理本であればなくさない限りは消えないし、本の中身が勝手に書き換わることもない。この辺りはメリットだと思う。
電子図書館にも意外な課題がある。物理的な図書館であれば建物の維持費と人件費がメインになるが、電子図書館はシステムの保守費等や通信費などが発生し、これがかなり高額になる。各地方が設置した電子図書館の中には経営が困難になりクローズしてしまったものもあると聞くので、これは権利関係が仮にクリアになった場合にも残る課題だろう。
そもそも電子図書館は土地の制約を受けないので複数ある必要がなく、一個に集約すればいいとかなると、元締めが認めない本は置けないとかが起きるので、そういった問題も出てくると思う。
物理本は過去の遺産だからなくすというのにも一定の理はあると思うが、文化財や芸術品としてみた場合にそれはどうなのかとも思うのであった。