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映画::トラペジウムジャンル::アニメ

前回の記事を書いてから、二回目を見たので感想をまた書く。

やはりこの作品は非常に良い作品だ。いい意味でひねくれていて、青春で、青臭く、そして人間味がある。同時に賛否は非常に分かれる作品だろう。まず前回書いた記事のとおりめんどくさいオタク向け作品であるため、多くの人は内容を理解できないと思う。実際映画.comでは理解・共感できなかったという意見が多く見える。

東さんが「一度は見失った星」ということを発言するシーンがあるが、これはその後に出てくるオーディションに落ちたということを示唆していたのだと思う。これはとても良い伏線だと思う。

また「彼氏がいるなら友達にならなければよかった。サイテー」と東さんが亀井さんに言うシーンがあるが、恐らくこれが本作で最も険悪なムードになるシーンの一つで、全てが終わり、また始まる切っ掛けになるシーンとしてかなり好きだなと思えた。東さんは基本的に舌打ちをしたり、暴言を吐いたり、顔を歪ませたり、頸動脈に触れる癖があるなど非常に感情の発露のあるキャラクターで見ていて面白い。人間味の凄いキャラクターだと思う。

またくるみちゃんの活躍にも気づいた。彼女は一番最初から常に憂鬱そうな表情をしていたが、最初から東さんの謀りを見抜いており、さらに真司が東さんに抱いていた気持ちさえも見抜いていた。恐らく真司が自分を東さんに引き合わせてきてその時から既に気が付いたのだろう。彼女は過去にファンの接近に疲れていたことからしてそのような感情の機微に気が付いていたのかもしれないし、或いは真司から何かしらのリークを受けていた可能性もある。

なんにせよ、女子ながら高専に進みロボコンに出るほどの秀才であるから、頭は切れるのかもしれないし、ロボコン優勝という目標を持つものとして、同様にアイドルになりたいと強く思う人物の心を読み取れた可能性もある。何にせよそういったことに気が付きながらも自分が壊れる寸前まで東さんに付き合ってくれたという意味では非常に健気であり、友人思いな子である。

お蝶夫人、南さん、つまり華鳥さんは名脇役だったと思う。特にこれといって目立つシーンはなかったと思うが、全員を繋ぎ合わせ輪を保つ重要な鎹としての役割を担っていたように思う。しかしテニス部に所属している割に登場人物の中で一番脚が細いのは気になった。

作中の演出としてはダンスシーンで引きのシーンは3D、寄りのシーンは通常作画に代わるのは新鮮でよかった。ダイナミックな動きと、絵の綺麗さが両立されていてよかったと思う。しかし3Dモデルの足の細さがやや気になった。あれでは脚というより棒というか…w

あとは中後半から総作監であるけろりら先生の絵柄がもろに出てくるシーンが多々あり、作画が乱れているのが気になった。ぶっちゃけ、ぼざろにしか見えなかった。

ほかに作品の外側としては、主題歌をVTuberの星街すいせいが歌っていたことは、星街すいせいがVTuberからアイドルになったような錯覚が個人的に生まれ、メタ的によかった。エンディングタイトルが「方位自身」というので東西南北と自分自身を掛けているような名前になっているのもよい。

総合的には2024年のアニメ映画作品では今のところ一番好きだ。飛びぬけて好きといえる。

魅力的なキャラが多いので好きなキャラはかなり迷うのだが、キャラビジュアルを軸に見ると亀井さんが好きだ。南さんほどではないものの身長が比較的高く、総合的なルックスが好みだ。東さんが認めるルックスの美少女だけはある。

総合点ではやはり東さんだろう。あれだけ人間味があり、感情の発露をし、表情が豊かで、顔も美形なので文句のつけようがない。東高の制服のダサさにコンプレックスを抱いているところもいいし、真司との最後のデートでの満更ではなさそうな態度や、大人になって再会し、目線を送られた時の反応も好みだ。

また作中舞台としては神戸女学院大学が出てきたのがよかった。神戸女学院大学は兵庫県西宮市に所在する女子大だ。舞台は千葉県南部、出てくる鉄道は内房線のようだ。

しかしまぁ劇的に客入りが悪いこともあり、公開から一ヶ月程度で打ち切りになりそうだ。まぁこの手の作品にはありがちなことではあるとはいえ、上映館が多い作品だけに何とも言えない。

そういえばキービジュアルの水面に映る東さんもいいよね。気づく人が少ないポイントだと思うけども…。

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映画::トラペジウムジャンル::アニメ

トラペジウムというアニメ映画を見てきた。余りに衝撃的だったので記事にしてみようと思う。

実は映画館の予告とかで存在は知っていたのだが、キービジュアルとAKB48系ということで初めは見る気がなかった。しかし映画館でポスターを見た時、これは見ないといけないと思ったのだ。

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ポスターを見ると色々あるが、個人的にはこの辺りが刺さった。「楽しくなかったら許さないからね。」「来なさい、死にものぐるいで。」「ボランティア活動とか興味ないですか?」「私たちは元々友達だったんだから。」どう考えても狂気がこもったメッセージである。正気ではない。見ないと損をする。瞬時に脳裏をその感情がよぎった。

そして観てきた感想だが、これはすごくよかった。人の感情がこれでもかと詰まった作品だ。内容を端的に言うと精神的に未熟な学生が、挑戦と失敗を繰り返し苦汁をなめながら、立派な大人になる過程を描いた成長譚だ。

登場人物としては絵に描いたような箱入りお嬢様、陰キャ系の技術オタク女子、いじめられっ子根暗から整形で転生し普通人間に擬態した女子、頭がよくスペックは高いものの精根腐りまくりで強かなアイドル志望主人公といった感じで、非常に個性的だ。

主人公はアイドル仲間を集めるために東西南北の名前が付いた高校から謀略的にメンバーを集める。友達になろう、技術のことに興味があります、そんな噓を重ねてどんどん人を集める。中には、その学校の男子生徒の下心を逆手にとって勧誘するシーンさえもある。ここはこの作品のキーとなるポイントで、エンディングで最も輝く伏線として機能することになる。

そして絆づくりをしたり、将来アイドルとして有名になったときに経歴を調べられても問題がないようなアリバイ工作まで、様々な謀りを行う。高校生とは思えない行動力である。

しかし偽りの絆で互いの意思とは関係なく集められたアイドルはすぐに破綻する。それはもう全員感情を限界まで発露するのだ。「こんなことしたくない!」「このままでは私は壊れてしまう!」そういったことを次々と話にするのである。

それから間もなくし、アイドルは解散する。主人公は他の全員から責められる。そして全員解散する。これで終わりか…と思うものの、そこからまた絆を取り戻すストーリーがあり、この一件をきっかけに全員がそれぞれの夢を見つけ、大人になりそれぞれの夢を達成し、また出会う。

そしてその時、昔下心をもって近づき、結局実らず、利用されるだけだった真司が、展示会を開く。すると、そこにはかつて、まだみんな楽しく本当に笑っていたころの集合写真があったのだ。そのタイトルこそが、そうtrapeziumなのだ。真司は星を撮影することが好きなカメラマンだった。そして、この写真は星として輝くアイドルを撮影した一枚だったのだ。

所々で出てくる主人公の悪態や自己中心的な態度、傲慢さ、他の登場人物から発露される葛藤、公開、憎しみ、そういった強い感情が多く表現されており、非常に人間味のあるストーリーで個人的にかなり良かった。

しかし本作は映画の予告シーンやキービジュアルからは全く予想できないような内容だったので、恐らくギャップを楽しんでほしいという思いがあるのかもしれないが、そこまで名のある原作ではないこともあり、映画館はガラガラだった。元々はよくあるアイドル物的な内容に終始する宣伝しか打たれていなかったと思う。口コミは悪くないように見えるが、設定が複雑でセンチメンタルな感情を描いた作品ということで、端的に言うとめんどくさいオタク向け作品であり、恐らくそこまでヒットすることはないだろう。どのくらい面倒かというと岡田麿里作品よりも面倒だ。個人的には、こういうのがかなり好きなのだが、残念ながら基本的に私が好む作品はヒットしない。

二回目を見てきたので、トラペジウムを見てきた その2を書いた。