集合住宅で光インターネットを使うのは大変

引っ越しをしたら光回線で難儀したので、光回線の配線方式の特性について個人的に調べたことをメモ程度に残しておく。基本的にはフレッツ光ネクストと集合住宅の話。
NTT 以外の光回線については取り扱いません。

集合住宅で FTTH を使うのは大変

集合住宅に引いてある回線は無料インターネットだとか CATV 回線が多い事は一部にはよく知られていると思う。なにか数値化した訳では無いが、個人的に調べた限りでもだいたい認識はそうだと言う肌感覚はある。インターネット対応とか、光ファイバー対応とかある物件の多くは LAN 配線方式が多い様に感じている。私は光配線方式を使いたいのだ。

またネットの物件検索サイトの検索条件には光コンセントの有無がないため、基本的に探すことはできない。物件説明に光ファイバーと書かれていても大抵通ってない。
基本的に目ぼしい物件を見つけては NTT のサイトで確認するという地道な作業の繰り返しになるが、稀に不動産屋に元光回線の販売員の人がいることがあり、この場合非常にスムーズに見つかるケースがある。
ぶっちゃけレア物件と言われている防音室付きの物件を探すより遥かに難易度が高い。何故なら防音室は検索条件にあるからである。光コンセントも検索条件にほしい。

配線方式の比較

光配線LANVDSL
速度
グローバル IP
安定性
セキュリティ
自由度

配線方式ごとの特徴

基本的にマンションのグレードとは何ら相関関係がないため高い賃料を払えば良い回線が選べるというわけでは全くない。むしろ光配線方式を選びやすいのは微妙な物件のほうが多い傾向があるように思う。

光配線方式

基本的には 3 つの配線方式の中で最も早く安定した接続方式だが、たぶん余り普及していない。
インターネットの自由を謳歌するのであればこれしかない。

内容としては光ファイバーが基地局から各戸まで配線されているもので、自分で ISP を契約するタイプだ。
このためグローバル IP の取得が可能である。

配線方式としては集合住宅でも戸建てでも最大 32 分岐された回線が各戸へ届いている。
集合住宅であれば基地局から来た 1 本の回線を共用部 MDF 室1 で最大 32 分岐、戸建てであれば基地局内で 4 分岐した回線を電柱で 8 分岐している。
つまり集合住宅と戸建ての分岐数は理論上同じであり、分岐前の大元の使用者が多いほど回線速度が低下する。
一般的には戸建ての方が一般的に実際の分岐数が少ないため高速と言われているが、集合住宅であっても利用者が少なければ速度が出るケースはある。

またこの分岐を行っている装置を光スプリッタといい、電源を必要としないため停電時でも動作する特性がある。
仕組みが非常に単純であるため、一度導入すると基本的に壊れることがないと言われている。

集合住宅において入居したい部屋が光配線方式であるかどうかは NTT 東西のエリア確認サイトで確認することが可能だが、部屋番号まで選択した上で対応していなければそれは非対応である。
その他に、内覧時に光コンセントの有無を確かめることでも確認できる。

ただ建物自体が対応している場合は引き込める可能性があるので、管理会社に相談してみるのが吉。
基本的に MDF に光スプリッタを増設して引き込むだけであるため、理解のある会社であれば導入できる可能性がある。
この時 32 分岐が全て使われている場合があり、そうなると基地局から光回線を引いてくる必要があるため、工事期間が長くなることがある。

LAN 配線方式

速度がどれほど出るかは不明瞭で運が良ければ早いこともあるが、悪いとまるで出ないと言われている。
セキュリティや可用性にも疑問符がつく方式で、ISP を選ぶことはできない。

内容としてはマンションまで光ファイバーが来ており、共用部の LAN ルーターで分岐させて LAN ケーブルを用いて各戸へ配線する方式だ。
基本的に根本の回線を全戸で共有する方式のため、分岐数が多いと回線速度に限界が出てくる。
例えば 1Gbps の回線を 94 戸で共有している物件があったりする。仮に利用者が 3 割だとしてもまともに繋がる気配がしない。当然、誰も利用者がいなければ当然その分早くはなるが…。

また、マンション全体が一つの LAN になっているため、グローバル IP が取れず、セキュリティ的にもリスクがある。
例えばネットワーク上の IP アドレスの一覧は取れるだろうから、セキュリティが甘いどこかの部屋のマシンに攻撃するといった行為は十分に可能性がある。
他にもアクセス過多や、屋外の高気温などでルーターの負荷が高まったときに通信障害が発生する可能性もある。
また当然だがルーターは電気を必要とするため停電すると使えなくなる。

この方式はインターネット無料という触れ込みで入居者を誘えるという点から分譲・賃貸を問わず集合住宅では広く採用される傾向がある。
グローバル IP が欲しいとか、セキュリティや回線品質に拘りたいという人は少数派であろうから成り立つビジネスモデルであると言える。

VDSL 方式

3 つの配線方式の中では一番遅いと言われている方式。
古めの賃貸や中古マンションにありがちな方式と思われる。

内容としてはマンションまで光ファイバーが来ており、そこから各戸までは電話回線で配線する方式だ。
仕組み的には ADSL と同じなので原理上 100Mbps 以上は出ない。
また利用者が多いと根本の光ファイバーが圧迫されるのでより遅くなるが、これはどれにも言える共通の話である。

電話回線を使っている関係で通信の安定性は光配線方式に比べると劣るが、ルーターなどの物理的な機器がないので通信障害が起こることは基本的にない。

回線速度だけ見ると微妙だが、好きな ISP と契約できるためグローバル IP が欲しい場合は LAN 配線方式より優位になるケースもあるだろう。

正直グローバル IP が不要で、通信のレイテンシ2を許容でき、かつ電波状況が良い環境であればクラウド WiFi や povo などを検討した方が速度面では満足できるだろう。

参考記事


  1. 主配線盤のこと。室と付いているが大抵は施錠された配電ボックスのことで部屋にはなっていない。この箱の中に光スプリッタが収められている。 

  2. 移動通信システムはレイテンシが高く、オンラインミーティングなどの通話にはあまり向かない傾向がある